もう本でも読むしかない

仕方ないので本でも読む。SF・文学・人文・漫画などの書評と感想

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台湾日記:中山北路をYOUバイクで下る

台北の街角にはYOUバイクというレンタル自転車のスタンドがあちこちに設置されており、携帯電話の番号で登録すれば、交通機関用のプリペイドカードで利用できる。ある場所のスタンドで借り、別のスタンドで返せばいい。スタンドの場所は専用のアプリでも調べられる。料金は4時間以内であれば30分で10元(40円くらい)。 台北に住み始めてから、このYOUバイクを仕えるようになって以来、台北市内での行動範囲は飛躍的に拡大した。台北は京都のように通りが縦横に走る街で、坂もそこまで多くないので自転車での行動に向いている。

 

私が好きだったのは中山北路チョンシャンベイルーを南下するコースだ。住んでいた中山國小チョンシャングオシャオから民權東路ミンチェンドンルーを西に1ブロック進むと中山北路に出る。この通りは台北の中心を南北に通る大通りだ。そもそもなぜ「中山」なのかというと、この名前は中華民国の国父である孫文の字(あざな)が「中山」であったことに由来する。また東西に走る通りはこの中山路を境に「東路ドンルー」と「西路シールー」に分けられる。

中山北路を南に向かう

 

この美しい目抜き通りを1キロほど南下すると南京路ナンジンルーに着く。ここを西に曲がって1ブロックでMRTの中山站チョンシャンジャン中山駅)があるのだが、このゾーンが東京で言えば銀座の中央通りのような華やかな場所なのだ。別に何を買うというわけでもないが、私はそういう場所が好きである。中山路から南京路との交差点にかけては五つ星の台北老爺大酒店タイペイラオイェダージョウディエン(ホテルロイヤルニッコー台北)や、クラシックで荘重な感じの警察署が続き、駅前は二館に分かれた新光三越シンゴンサンユエ、そして誠品生活チョンピンシャンホアといったデパートに囲まれている(この誠品生活、そして誠品書店という奇妙な商業施設についてはまたいずれ書こうと思う)。中山駅から南北には広く長い緑道が伸びていて、散歩にもぴったりである。

中山站の駅前

 

台北老爺大酒店の斜向かいには公園のようなちょっとした緑地があり、その中に建っているのが光點台北ゴンディエンタイペイ、別名を台北之家タイペイジージャーである。これは1925年に建設された旧アメリカ大使館邸を改装し、ミニシアターとその併設ショップ、ギャラリー、レストランなどを含む複合施設としたものだ。リノベーションのプロデュースは映画監督の侯孝賢ホウシャオシェンらしい。真っ白な洋館とその庭園を利用したこの施設は大変に心地よく、何度か映画も見に行った。台湾ではこういう古い建築のリノベーションが盛んで、多くの近代建築が美術館やカフェなどとして復活している。

光點台北台北之家)

 

このような施設、ミニシアターとおしゃれなショップが合体しているような施設を見ると、私はどうしても90年代末の渋谷を思い出してしまう。私はおしゃれな人間では全く無かったが、当時は渋谷のミニシアターでフランス映画とかを見ていた。光點台北ではフランス映画「トリコロール」三部作やジム・ジャームッシュ監督作の台湾版ブルーレイ/DVDが大々的に陳列されており、私は20年以上前の東京に迷い込んだような錯覚を覚えた。

 

 

台北のちょっと気の利いたガイドブックが見たいと思ったらこちらがお勧め。私も台湾人の知り合いに勧められて買いました。