台湾に到着してから初めての休日、私はさっそく観光に出かけた。といっても近場である。私が向かったのは台北市の中心地、
まずMRTに乗って臺北車站に向かい、そこから
この旧台北城エリアは日本による統治の中心だったため、多くの政府関連施設や銀行などが建てられた。それらのいくつかが、現在もその姿をとどめているというわけだ。台湾では、古い建築物をリノベーションによってなるべく往時の形で活かそうという動きが盛んである。
特に、二二八和平公園から中華民国総督府に至る地域には、迫力のある建物が多かった。その時撮った写真とともに紹介してみる。
二二八公園北側の襄陽路。左手に国立台北博物館。この先の交差点を左折して進むと、右手に中華民国総統府がある。
これらの建物を経て、私はついに台湾総督府(現・中華民国総統府)にたどり着いた。1919年に完成した、日本による台湾統治の中心だった建物である。赤煉瓦と花崗岩で作られた、赤と白の新古典主義建築だ。
うすうす予感していたが、私はその威容に畏れを抱いた。それは、例えば日本の国会議事堂などとは全く違う意味合いの建造物だった。
台湾は、帝国主義時代の日本の最初の植民地である。台湾総督府庁舎は、台湾の、そして世界の人々に、西洋列強と肩を並べようとする帝国日本の力を示すものでなければならない。それは、日本が建てた建築の中でも、ある意味で最も顕著に、権力を誇示するために建てられたもののひとつであろう。
広大でまっすぐに伸びた
ちなみにこの観光散歩をしたのは12月の末だったが、南国の日差しを甘く見ていた私は見事に熱中症となった。
台湾の建築とその歴史を手早く知るには、この「ふくろうの本」シリーズ『図説 台湾都市物語』(河出書房新社)が図版も多く便利。