もう本でも読むしかない

仕方ないので本でも読む。SF・文学・人文・漫画などの書評と感想

,

台湾日記:早飯店で台湾朝ごはんを食べる

台湾には早飯店ザオファンディエンと呼ばれる朝ごはん屋さんがたくさんある。とにかく台湾は外食文化なので、多くの人が朝から外で食べたり、外帯ワイダイ(持ち帰り)して職場で食べたりする。出勤すると、わりとみんな自分の席で何かしら食べていた。

そして朝ごはん屋にもいろいろな種類があるのだが、ここではまず豆漿ドウジァンの店について書きたい。豆漿とはつまり豆乳のことである。台湾ではすごく豆乳を飲んだり料理に使ったりする。心なしか、日本のものより臭みが少ない気がした。

そのまま飲むことも多いが、朝ごはん屋で目立つのは何と言っても鹹豆漿シェンドウジァンだ。これはいってみれば豆乳スープである。少し酢の入った熱い豆乳スープに、ザーサイと桜えびが入っていることが多い。台湾では何でも持ち帰りできるが、こればかりは時間が経つと酢の酸で豆乳が固形化してしまうので、できればその場で飲みたいところ。

そして鹹豆漿には基本的に油条ヨウティアオ燒餅シィアオビンを合わせる。油条はいわゆる揚げパン、燒餅はザクザクのパイ生地のように小麦粉を焼いたものである(小麦粉を焼いたものを総称して「ビン」と呼ぶ)。これらのプレーンな小麦食と、とろりと熱い鹹豆漿の組み合わせで食べる。

もっとも鹹豆漿を出す店には他にも米で具を巻いた飯糰ファントゥアンや各種の卵料理、それに点心など多くのメニューがあるので、みなそれぞれ組み合わせにはうるさそうだ。

三合一(後述)と豆漿のセット

 

近所にあったチェーン店では、三合一サンハーイー咖啡豆漿カーフェイドウジァン(コーヒー豆乳)のセットを推していた。三合一というのは「三位一体」みたいな意味で、サンドイッチ的な形状をしているのだが、その内容はというと前述の燒餅の中に、卵焼きと、これも前述の油条を挟んだものだ。いや……卵についてはわかる。蛋白質だ。卵はいいとして、一体なぜパイ生地の中に揚げパンを挟んだのか。私は何度かこれに挑戦したことがあるが、まさに炭水化物の暴力といった食物であり、いつも膨らみ切った腹をかかえて店を出ることになる。

 

 

他の種類の朝ごはん屋としては、ハンバーガー屋もよく行った。漢堡店ハンバオディエンと呼ばれる種類の店なのだが、この種の店で出されるハンバーガーはいわゆるハンバーガーチェーンのそれとはかなり違う。

いや、基本的な構成要素は同じなのだが、なんというか目指すものがだいぶ違う。うまく説明できないが、強いて言えばお惣菜っぽい。パンもハンバーグも香ばしく焼くというよりは、水分が多くて柔らかめな感じだ。食べている感じがマクドナルドのようなチェーンのハンバーガーとも、カフェやレストランの高級なハンバーガーとも違う、しっとりとした独特の味わいである。

 

漢堡(ハンバーガー)の店。

 

他にも妙に甘いサンドイッチや各種の粉もの、そしてお粥など、台湾の朝ごはんは多彩だ。でも実を言うとそんなに頻繁に食べたわけではない。なぜならどれを食べても、けっこう量が多い。私などは朝はわりと少食なので、朝ごはん屋で食べるとお腹がいっぱいになってしまう。なので休日のブランチにしたり、ちょっと早めのお昼として食べることも多かった。

なおほとんどの朝ごはん屋は、昼前には店を閉めてしまう。本当に朝食専門なのであった。このあたりにも、台湾では多くの人が出勤前に朝ごはんを買って食べるということがわかる。私が習った中国語の先生は、朝ごはん屋は学校の近くに多いと言っていた。親が子供を送り、朝食を食べさせてから学校へ行かせるためだという。

 

 

数年前の台湾ブームはすごかったので台湾朝ごはんの本も出ている。レシピも載っているので挑戦してみようか……