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台湾日記:台湾新幹線(高鐵)で駅弁を食べる

新幹線に乗ろう

 

台湾新幹線こと台灣高速鐡道(高鐡)

 

台湾には新幹線がある。その名も台灣高速鐵路タイワンガオスーティエルー、略して高鐵ガオティエである。

台湾の西岸を南北に走り、北の台北から南の高雄ガオシィォンまでを二時間弱で結ぶ高速鉄道だ。(厳密には台北のさらに北の南港駅と、高雄の近くにある左營駅がそれぞれの終点)
私は出張でしばしばこの新幹線に乗ったのだが、もう乗るのが楽しくて仕方なかった。まさに役得である。ちなみに台湾は鉄道マニアにとって垂涎の地だということですが、残念ながら私はそちらに関しては門外漢です。

 

まず私は台北の交通の中心、台北火車タイペイフゥォチャージァンからこの新幹線、高鐵に乗る。

この台北站はいくつもの地下街が交錯する、まさに迷宮のような駅なので慣れるまでは大変なのだが、慣れればスムーズに乗り場まで行けるようになった。なおそれらの地下街のうちひとつ「台北地下街タイペイディエシィァジェ」にはアニメ、ゲーム、コミックの小さな店がひしめいており、まるで中野ブロードウェイが地下化したような空間でなかなか楽しい。古いゲーム機の、中古のソフトを買ったりした。

切符は事前にオンラインで予約もできるし、その場で券売機でも買える。私は出張なのでだいたい朝に乗っていたが、例えば金曜の夕方などは台北から中南部の実家に帰る客などで混んでおり、当日券では座れなかったりもする。

 

台北火車站。忠孝西路より。

 

駅弁購入

 

そして切符を買った後に重要な要件がある。駅弁の購入だ。新幹線の席で駅弁を食べる、これが最大の楽しみであることに異論を唱える者はいないだろう。台北站はもともとの鉄道路線である台灣鐵路タイワンティエルー台鐵タイティエ)の駅と新幹線(高鐵)の駅を兼ねているのだが、それぞれの路線が独自の弁当、すなわち台鐵便當タイティエビェンダン高鐵便當ガオティエビェンダンを売っている。乗るのは高鐵なのだが私はどちらかというと台鐵の弁当の方が好きで、いつも台鐵弁當を買っていた。駅弁売場にはいつもかなり長い列ができているので、発車時間には注意しなければならない。

駅弁を買ったら、改札の近くにセブンイレブンがあるのでそこでコーヒーを買う。これで準備は完了だ。

 

そして乗車へ

 

さていよいよ新幹線に乗車するのだが、ここで大きなトラップがあるので気を付けたい。ホームの方向だ。

前述のように、実は台北は新幹線の起点ではない。台北のさらに北にある南港が起点/終点なので、台北站からは南北双方に列車が出ているのだ。

そして、改めて書くが、ほぼ台湾全土を南北に伸びる新幹線、台灣高速鐵路の、最北端の駅が「南港」である。これはかなり危険な罠だと言わざるを得ない。誰だって台北から新幹線に乗る時は南下すると思って乗っている。そして不慣れな人間が「南港ナンガン」という名前に騙されて逆方向に乗ってしまうのだ……

 

このトラップを回避すればあとは安心して新幹線に揺られればよい。揺られると言っても、実際はほとんど揺れない。非常に快適である。ちなみにこの車両は日本の技術が輸出されており、乗った感じは日本の新幹線とほぼ同じである。停車時のアナウンスまでほとんど同じ感じなので、まるで日本にいるような気さえしてくる。前後の席の間隔は日本のものより広い気がするので、なんならより快適だ。

すぐにでも駅弁を食べたいところだが、台北から南下するとしばらくは地下を走ることになる。一駅先の桃園タオユェン(桃園空港がある駅だ)を過ぎると地上に出るので、私はだいたいそこから弁当を食べる。

桃園からしばらくは住宅地と農地が広がっており、見晴らしもよい。

 

台湾の弁当

 

いちばんシンプルなタイプの駅弁



台湾の弁当は、基本的には米の上におかずが全部乗っている形式だ。代表的なおかずはまず排骨パイクー(揚げた豚の骨付き肉を煮込んだもの)、そして魯蛋ルーダン(煮卵)、豆干ドウガン(固めの豆腐、あるいは厚めの湯葉のようなもの)、そして各種の野菜。ほの甘く煮込まれたこれらの具材が白米の上にぎっしり並べられている。どれも白米によく合う。

台湾で売っている弁当はどれを食べても、米とおかずの間になんとも言えぬ一体感のようなものがあり、ひとつの統一された食べ物になっている気がする。ある意味、中身が全部同じ味になっていると言えなくもないが、しかしこれがとても美味しいのだ。
そして台湾の弁当は安い。だいたい50元~80元くらいだ。高くてもせいぜい300円前後である。なぜこんなに安いんだろう。

車窓からの風景。これは台南のあたり。



 

 

 

未読ですがこんな本が出ていますね。

 

これも未読ですが……なんか、出てるなあ、と思って……

 

 

 

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2023年9月に開催された「第三回かぐやSFコンテスト」に投稿した短編SF小説が、選外佳作に選ばれました。近未来のパリを舞台としたクィア・スポーツSFです。

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こちらはカクヨム公式企画「百合小説」に投稿した、ポストコロニアル/熱帯クィアSF。

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