もう本でも読むしかない

仕方ないので本でも読む。SF・文学・人文・漫画などの書評と感想

,

Horsegirlというバンドがすごいので、さりげなく紹介したい。

新たに発見されるもの

 

Horsegirlというシカゴのバンドの、このPVに衝撃を受けた。

www.youtube.com


まるで80年代から90年代のインディー・ロックではないか。なんでもこのバンドは2019年に結成していくつかシングルやEPなどを発表しており、その後名門レーベルであるマタドールと契約して、今年1stアルバムを発売したばかりとのこと。メンバーはまだ10代。

それにしても、曲だけでなく、この完璧な佇まいはどうだ。髪型、服装、仏頂面、ビデオの作り。完全に「あの時代」そのものだ。

いや、「そのもの」ではないのだと思う。たぶんここには何か決定的な新しさがあるのだと思う。そうであってほしい。10代である彼らとその同世代のファンにとって、これは30年も昔のロックとは似て非なるものであるに違いないと思う。

いや実際、メンバーはその当時のロックに深い影響を受けてはいるようだ。そのことはインタビューなどでもはっきり語られている。また彼らの世代にとっては、30年も前のロックというのは何かそれ自体がオルタナティヴな価値のあるものなのだという可能性も十分ある。

しかし私のような世代のロックファンは、ここで慎重になってしまう。彼らの音楽と佇まいには盛り上がらざるを得ないが、しかし彼らは決して自分のような世代のためにそれをやっているのではないはずだ。いやもちろん上の世代が盛り上がってもぜんぜん構わないのだろうが、その際に、何か「それはもともと自分たちの世代のものなんだぞ」という空気を出してはいけないと思う。というか、そういう空気を出されるのは迷惑だと思う。彼らは彼ら自身のためにそれを発見し、それをやっているのだから。

というわけで、まるで30年前のインディー・ロックが蘇ったかのように感じてしまうこのバンドを、しかし全く新しく独自のものとして、自分たちがよく知っているものではなく彼ら自身のものとして聴く、ということをこれからどうにかやっていきたいと思う。それが具体的にどういうことなのかはよくわからないのだが、できないことでもない気がする。

(実際にはこういう音楽は私よりも少し上の世代のものだと思うが、まあ10代から見たら誤差の範囲だろう)

 

6月にリリースされたデビューアルバム。

 

影響を受けた5曲をメンバーが語るインタビュー。

www.redbull.com