もう本でも読むしかない

仕方ないので本でも読む。SF・文学・人文・漫画などの書評と感想

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2024-11-01から1ヶ月間の記事一覧

エドワード・ヤン監督『カップルズ』 都市と若者たちの映画

台湾ニューシネマを代表する監督による青春映画 Asian Film Archiveより シンガポールのNGO「Asian Film Archive」主催のエドワード・ヤン映画祭にて、1996年の映画『カップルズ(原題:Mahjong)』を見た。 エドワード・ヤンは、1980年代から始まったいわゆ…

斜線堂有紀の奇想SF短編集『回樹』 思いの切実さと危険さを、つねに同時に描くこと

斜線堂有紀の初めてのSF短編集 回樹 作者:斜線堂 有紀 早川書房 Amazon 今回紹介する『回樹』は、2023年に刊行された斜線堂有紀の初のSF短編集。 もともとミステリや恋愛小説の分野で知られていた作者だが、アンソロジー等にしばしばSF短編を寄せることがあ…

奈落の新刊チェック 2024年10月 海外文学・SF・現代思想・哲学・歴史・無限病院・光の速さ・大量死・庭に埋めたもの・台湾と沖縄・人類の都ほか

国際情勢が息つく暇もない昨今ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。世の中が落ち着かなくなればなるほどSNS上に拙速な言葉が飛び交うのはもはや避けがたい世界の有様ですが、そんな時ほど書物に蓄えられた思考に触れ、言葉の減速を図るべきかと思います。も…