もう本でも読むしかない

仕方ないので本でも読む。SF・文学・人文・漫画などの書評と感想

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2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ディディ=ユベルマン『場所、それでもなお』 強制収容所の歴史を表層/外観から読み取ること

著者の代表作『イメージ、それでもなお』に連なる論文集 現代フランスの、哲学的な美術史家とでも呼ぶべきジョルジュ・ディディ=ユベルマンの代表的な書物に『イメージ、それでもなお』があるが、その内容に関連した3篇の文章を集めた日本独自の論集が、今…

張愛玲「傾城の恋」 近代中国の葛藤を織り込んだ傑作ラブロマンス

中国の現代文学を代表する作家 張愛玲(ちょう・あいりん/アイリーン・チャン)は、魯迅と並んで中国の現代文学を代表すると言われる作家だ。1920年に上海で生まれ、1944年に初の著書『伝奇』を刊行するやいなや大ベストセラーとなったという。後年アメリカ…

竹書房文庫のSFが気になる! 独自のセレクトとスタイリッシュなデザインで攻める新進SF文庫リスト

竹書房文庫のSFがやばい! SF専門の文庫レーベルと言えばハヤカワ文庫SFと創元SF文庫が二大巨頭ではありますが(あと河出とかちくまとか他の文庫レーベルからも面白いSFはたくさん出てますが)、近年は竹書房文庫のSFがどんどん存在感を増しており、気になっ…

『シン・仮面ライダー』が表現する、特撮のヌーヴェル・ヴァーグ的異物感

生々しい手触りを目指す、庵野秀明のヌーヴェル・ヴァーグ映画 シン・仮面ライダー 池松壮亮 Amazon 庵野秀明監督『シン・仮面ライダー』がようやく海外でも公開されたので、遅ればせながら劇場で見ることができた。(すでにAmazonプライムビデオで配信が始…

岡田温司『キリストの身体』 聖なる「身体」が導く美と政治

キリストの「身体」を読み解く表象文化論 キリストの身体―血と肉と愛の傷 (中公新書) 作者:岡田 温司 中央公論新社 Amazon 岡田温司についてはこのブログでも何度か紹介しているので重複になるかもしれないが、この著者には大きく分けて二種類の著作群がある…

奈落の新刊チェック 2023年7月 海外文学・SF・現代思想・歴史・七月七日・黄金蝶・パチンコ・日本橋・ニジンスキー・弥勒ほか

さて異常な暑さに襲われたりTwitterがXに変わったり雑誌インタビューから結婚の文字が消えたりと末法感ただよう今日この頃ですがいかがお過ごしでしょうか。くれぐれも熱中症には気をつけつつ、気を取り直して恒例の新刊チェックといきましょう。もう本でも…