もう本でも読むしかない

仕方ないので本でも読む。SF・文学・人文・漫画などの書評と感想

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2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

YOMUSHIKA MAGAZINE vol.4 JANUARY 2023 特集:ニューウェーブ

ダダイストたちの挑発にまんまと乗せられた観客は、舞台からあふれでるナンセンスな言葉の洪水に腹を立てて、生卵やトマトや腐りかけたオレンジをダダイストめがけて投げつけたり、有名な女優のマルト・シュナル(ピカビアと一緒に見物に来ていた)にフラン…

2020年以降の芥川賞・三島賞・野間文芸新人賞候補作をまとめてみた

いわゆる「純文学」というジャンル いわゆる「純文学」という、なんというか独特の、ある一定の形式と雰囲気を持った伝統的な小説のジャンルが現代日本にはあるわけですが、そしてここでの「純文学」というのは広い意味のそれではなくけっこう狭い意味のもの…

遠野遥『破局』 強すぎ主人公の機械的精神が味わう性の苦悶

新鋭・遠野遥の芥川賞受賞作の主人公はとにかく強い 2019年に『改良』で文藝賞を受賞しデビューした遠野遥による『破局』は、作者にとっての第2作であり芥川賞受賞作である。 ちょうど文庫版が出たので紹介してみようと思ったのだが、一体どのように紹介すれ…

ティム・バートン監督『ウェンズデー』 モノクロームなゴシックへの帰還

90年代バートン映画ファンの懐古的な語りをお届けします。 さて『ウェンズデー』です。説明不要な気もするものの一応説明すると、往年の大ヒット・ゴシック・コメディー映画『アダムス・ファミリー』シリーズ(原作は漫画らしい)の登場人物ウェンズデーを主…

奈落の新刊チェック 2022年12月 海外文学・SF・現代思想・首里の馬・フラヌール・ゲシタルト・絶縁・構造と自然・アーレント・綿の帝国ほか

あけましておめでとうございます。今年も弊ブログをよろしくお願いいたします。さて新年ではありますが、昨年12月の面白そうな新刊チェックから始めたいと思います。旧年中のものどもがまだ我らを離してはくれないというわけです。ではいってみましょう。 首…