もう本でも読むしかない

仕方ないので本でも読む。SF・文学・人文・漫画などの書評と感想

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2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

星野太『食客論』 他者との「共生」という難題を、食事から考える哲学的エッセイ

他人と生きることが得意でない私たちの、「共生」の問題 食客論 作者:星野太 講談社 Amazon 美学を専門とし、特に「崇高」をテーマとした哲学書をデビュー以来続けて刊行してきた1982年生まれの著者、星野太の初めての一般書と言える『食客論』は、しかし一…

嘉戸一将『法の近代 権力と暴力をわかつもの』 何が法律の「正統さ」を保証するのか

法学の立場から国家の役割を問う新書 法の近代 権力と暴力をわかつもの (岩波新書) 作者:嘉戸 一将 岩波書店 Amazon 私たちはふだん法律に従って生活しているが、ではその法律、あるいは法律を執行する国家が「正統なもの」であると、どのように納得している…

ウィリアム・ギブスン原作のSFドラマ『ペリフェラル ~接続された未来~』が面白い!

シーズン2がキャンセルされたけど見てほしい! youtu.be 『ペリフェラル ~接続された未来~』は、2014年に発表されたウィリアム・ギブスンの小説『The Peripheral』を原作とする、Amazon Prime Videoによる2022年のドラマシリーズだ。 シーズン1の全8話が配…

伊藤博明『ルネサンスの神秘思想』 古代異教の神々はいかにキリスト教世界に復活したか

ルネサンスにおける〈神々の再生〉──古代の思想・宗教の復活 ルネサンスの神秘思想 (講談社学術文庫) 作者:伊藤博明 講談社 Amazon プラトンやアリストテレスなどの哲学者や、ピュタゴラスやユークリッド(エウクレイデス)などの数学者、さらにはゼウスやア…

奈落の新刊チェック 2023年9月 海外文学・SF・現代思想・歴史・方形の円・厳冬の棺・悪の凡庸さ・革命と住宅・暗闇に戯れて・絵画の解放・民藝ほか

記録的な猛暑が終わり、ようやく涼しくなって来たと聞いていますがみなさまいかがお過ごしでしょうか。こちらは南国に住んでいるのでよくわかりませんが、さぞかし本を読むのに相応しい気候になってきたのではないかと想像しております。もう本でも読むしか…