もう本でも読むしかない

仕方ないので本でも読む。SF・文学・人文・漫画などの書評と感想

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2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

阿部和重『ニッポニア・ニッポン』 冷静な筆致で描かれる、歪んだ思考回路

阿部和重の初期代表作 無情の世界 ニッポニアニッポン 阿部和重初期代表作2 (講談社文庫) 作者:阿部 和重 講談社 Amazon 阿部和重は私のとても好きな作家の一人なのだが、なかなか紹介するのが難しい作家である。 なぜかと言うと、小説の中に、本当にろくな…

マーク・フィッシャー『資本主義リアリズム』 資本主義の外部はどこにあるのか?

「資本主義の終わりより、世界の終わりを想像する方がたやすい」 資本主義リアリズム 作者:マーク フィッシャー 堀之内出版 Amazon マーク・フィッシャー『資本主義リアリズム』は、2017年に自ら命を絶った批評家・ブロガーである著者の、2009年に刊行された…

高山羽根子『首里の馬』 歴史を秘めたものたちの、さりげない配置と交錯

創元SF短編賞出身作家の芥川賞受賞作 首里の馬(新潮文庫) 作者:高山羽根子 新潮社 Amazon 『首里の馬』は、創元SF短編賞の佳作を受賞してデビューした高山羽根子が、2020年に第163回芥川賞を受賞した小説だ。 私はごく最近『暗闇にレンズ』『オブジェクタ…

ネトフリドラマ『暗黒と神秘の骨』 王道ジュヴナイル・ファンタジーと悪党三人組の魅力を見よ

シーズン2配信を記念して、シーズン1をざっくり紹介します youtu.be Netflixオリジナルドラマ、シャドウ・アンド・ボーンこと『暗黒と神秘の骨』のシーズン2がこの3月ついに配信された。私はこの王道ファンタジードラマのシーズン1に大変はまっていたので待…

奈落の新刊チェック 2023年3月 海外文学・SF・現代思想・歴史・五色の舟・肌色の月・文明交錯・犠牲の森・公共哲学・キルヒャーほか

いよいよ新年度の始まりということで、新入学などされた皆様におかれましてはおめでとうございます。しかし海外に住んでると特に思うわけですが、新卒一括採用というシステムはいい加減いつまで続くんでしょうかねえ。などと社会について軽く吟じつつ3月に刊…