もう本でも読むしかない

仕方ないので本でも読む。SF・文学・人文・漫画などの書評と感想

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2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

筒井賢治『グノーシス 古代キリスト教の〈異端思想〉』 偽りの神が作った世界

原資料にもとづくグノーシス入門 歴史や宗教の話が好きな人なら、グノーシス主義について読んだり聞いたりしたことがあるのではないだろうか。初期のキリスト教における、代表的な「異端」である。 私などはグノーシス主義について、単に異端であるだけでな…

台湾日記:餃子の店で鍋貼と水餃を買う

台湾に住んでいた時に最もよく食べた地元料理は何か?と問われれば、それは餃子であろう。焼き餃子・水餃子ともによく食べた。ほとんどソウルフードだと思って食べていた気もする。 ちなみに焼き餃子は現地では鍋貼(グォティエ)、水餃子は水餃(シュェイジ…

斜線堂有紀『夏の終わりに君が死ねば完璧だったから』 「難病もの」における批評性とストイシズム

多ジャンルで活躍する作家の出世作 今回紹介する作家は、このところ膨大な仕事量により各方面で注目されている斜線堂有紀。 私がこの作家を初めて読んだのはSF短編で、アンソロジーに収録された短編「BTTF葬送」「本の背骨が最後に残る」が強く印象に残った…

スーザン・ソンタグ『他者の苦痛へのまなざし』 私たちは戦争と暴力の映像をどのように見ているのか

著名な批評家による、戦争やテロリズムに関する写真論 スーザン・ソンタグは1933年に生まれ、2004年に没したアメリカの作家・批評家である。『反解釈』や『写真論』などの著書、あるいは「キャンプ」という美的概念の定義などでよく知られている。(小説も書…

奈落の新刊チェック 2023年1月 海外文学・SF・現代思想・ツェラン・浮遊・香港陥落・生命と身体・ラカン・消費と労働・地霊ほか

さて2023年も早くもひと月が過ぎまして、新年の新刊もバシバシ刊行されております。紹介すれどもすれども湧き出る面白そうな新刊。しかし世は出版不況……読み切れなくても買い支えねばなりません。そう、日本の出版文化の未来のために…… というような崇高な使…