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台湾日記:餃子の店で鍋貼と水餃を買う

台湾に住んでいた時に最もよく食べた地元料理は何か?と問われれば、それは餃子であろう。焼き餃子・水餃子ともによく食べた。ほとんどソウルフードだと思って食べていた気もする。

ちなみに焼き餃子は現地では鍋貼グォティエ、水餃子は水餃シュェイジァオと呼ぶ。鍋貼というのはつまり、鍋に貼り付けるように並べて焼くという意味らしい。なおどちらも日本の餃子と比べて圧倒的に生地が厚く、主食感が強い。

水餃(水餃子)

 

ちなみに、餃子というのは「台湾料理」ではない。どこの料理かと言えば北京料理とされる場合が多いようだ。

中国語を習っている時、教わっていた先生に「好きな台湾料理は何だ?」と聞かれて「水餃です!」と答えたら「それは別に台湾料理ではないな」と言われたのをよく覚えている。

(中華料理というのは本当にいろんな種類があって複雑であり、台湾にあるお店も上海、北京、四川、広東、香港、客家など様々なカテゴリーに分かれていて、私などはとても把握できていない。なお台湾名物と言われがちな小籠包はもともと上海料理

 

さて餃子をどのような店で食べるかと言うと、基本的には麺類を出す店では餃子も売っていることが多い。麺と餃子は小麦粉製品なので同じカテゴリーなのだ。そもそも小麦粉は中国語では麵粉ミェンフェンだし、パンは麵包ミェンバオである。麺という概念が全てに先立つのである。
(ゆえに麺や餃子を出す店でも、炒飯などは無いことが多い。なぜなら米は別ジャンルだから)

とはいえ、やっぱり餃子を買うなら餃子専門の店で買う方がテンションが上がる。やっぱり餃子一本でやっていけるという迫力がある気がする。

私が住んでいた家の近所にも餃子専門店(単に「餃子だけ売ってる店」であって専門店というほど大袈裟なものではないのだが)があって、よく外帯ワイダイ(持ち帰り)して食べていた。

しかしこの店、慣れるまでは注文がなかなか大変だった。

内用ネイヨン(イートイン)の場合は、台湾の基本スタイルである「注文書に記入して渡す」だけで済むのだが、外帯の場合は外の厨房で直接注文しなければならない。

ところで今「外の厨房」と書いたがこれは間違いではない。台湾の飲食店では、厨房が建物の外側にある場合がままある。まあ都心の人通りが多い場所にはあまり無い気もするが、ちょっと裏手の通りにはよくある。

私の近所の店もそのパターンで、店の外側、最も通りに張り出した部分に水餃子を茹でる巨大な鍋と、焼き餃子を焼く鉄板、そして巨大な空調設備やガズボンベなどが設置されている。

そしてこの店は人気店なので常に多くの客が店先で注文した餃子ができるのを待っている。外帯をするためには鉄板と鍋の前まで突進していって、忙しく立ち働いている店員に力強くアピールする必要がある。目が合ったら大声で注文だ。「鍋貼グォティエ!!八个バーガ!!麗菜ガオリーツァイ(キャベツの水餃子)!!十个スーガ!!」などと力いっぱい叫ぶと、店員が持ち帰り用パックにそれをメモしてテーブルに並べていく。それを確認したら後は待っていればいい。

なおその店の焼き餃子はニラ一択なのだが、水餃子は高麗菜(キャベツ)と綠韭菜リョウジョウツァイ(ニラ)と韭黃ジョウホァン(黄ニラ)が選べて、それと酸辣湯スァンラータン玉米湯ユーミータン(コーンスープ)がある。メニューはこれで全部だ。

餃子には千切りのショウガと醤油・酢を混ぜた感じのタレをつけてくれる。後は持ち帰って台湾啤酒ピージョウ(ビール)と一緒に食べれば完璧である。

焼き上がった鍋貼(焼き餃子)

 

 

 

餃子とは特に関係ないが、最近刊行された台湾の料理関連本。著者が祖母からの三代にわたる食の思い出を綴った本で、台湾文学賞を受賞している。