もう本でも読むしかない

仕方ないので本でも読む。SF・文学・人文・漫画などの書評と感想

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2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

チョ・セヒ『こびとが打ち上げた小さなボール』 多声的に語られる、韓国独裁体制下の苦難

70年代の韓国を描いたベストセラー チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』を始めとした数々の韓国文学の翻訳により、今ではすっかり日本を代表する韓国文学の紹介者として知られている斎藤真理子だが、今回紹介するのはその訳業の原点になったという小…

川野芽生『Blue』 割り当てられた性と、社会と、自分自身についての対話たち

歌人でもある新鋭の芥川賞候補作 Blue (集英社文芸単行本) 作者:川野芽生 集英社 Amazon 川野芽生『Blue』は雑誌『すばる』2023年8月号「トランスジェンダーの物語」特集における発表当初から話題となり、芥川賞候補ともなった小説だが、作者のキャリア…

ハン・ガン『すべての、白いものたちの』 個人と都市の記憶が静かに交錯する詩的な小説

韓国の国際ブッカー賞作家による、断章形式の小説 すべての、白いものたちの (河出文庫) 作者:ハン・ガン 河出書房新社 Amazon 1970年生まれの韓国の小説家ハン・ガン(韓江)は、2005年の代表作『菜食主義者』によって、韓国で最も権威ある文学賞と言われる…

SFと植民地 あるいはシンガポールで見る『カジノ・ロワイヤル』(自作宣伝です)

私事で恐縮ですが…… SFのテーマとしての植民地 シンガポールで見る007の衝撃 創作紹介 関連ブックガイド 私事で恐縮ですが…… Winsland House II 今回は私事と雑談なんですが、実は一昨年あたりからブログのほかに趣味でSF小説を書いておりまして、WEBメディ…

奈落の新刊チェック 2024年1月 海外文学・SF・現代思想・歴史・Blue・サイード・プルードン・ケアの倫理・バトラー・決闘裁判・温泉・タロットの美術史ほか

さて月も明けまして恒例の新刊チェックです。この記事のために見かけた書名を控えておくのですが、いざこれを書こうとすると発売が延期になっていることもしばしば。みなさま苦労して本を刊行されているのかと思います。面白い本をどんどん出してくれる著者…