もう本でも読むしかない

仕方ないので本でも読む。SF・文学・人文・漫画などの書評と感想

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2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

九井諒子『ダンジョン飯』 「肉」として喰らい喰らわれる、剥き出しの世界

モンスターを喰らうことによる、肉体の存在感 ※ネタバレあります 今でも残念に思っているのだが、九井諒子『ダンジョン飯』の第一話を読んだ時、私はその魅力、あるいは恐ろしさに気が付かなかった。「ああ、なんかファンタジーあるあるコメディね」というだ…

高原英理『ゴシックハート』 抑えた筆致で語る、反逆の美意識

ゴシック/ゴス・カルチャーの基本図書が文庫化 高原英理による『ゴシックハート』は2004年に講談社より単行本として刊行され、2017年に立冬舎文庫として文庫化、そして2022年にちくま文庫として二度目の文庫化となった。本書は日本においてもゴシック/ゴス…

YOMUSHIKA MAGAZINE vol.6 MAY 2023 特集:1920年代パリ

江美留には、或る連続冒険活劇映画の最初に現われる字幕が念頭を去らなかった。明るいショウインドウの前をダダイズム張りの影絵になって交錯している群衆を見る時、また夏の夜風に胸先のネクタイが頬を打つ終電車の釣革の下で、そのアートタイトルは――襟元…

多木浩二『未来派 百年後を羨望した芸術家たち』機械と速度を賛美した芸術運動

「未来派」についての数少ない入門書 「未来派」をご存知だろうか。20世紀初頭のイタリアで起こった前衛芸術で、急速に発達する工業化・都市化・機械化を反映した総合的(詩・絵画・彫刻・建築・音楽含む)な芸術運動だ。後続するダダやシュルレアリスム、ロ…

ボルヘスの代表作『伝奇集』から、お勧めの短編を紹介します。

迷宮の作家・ボルヘスの代表的短編集からのお勧め短編5選 さてボルヘスです。前回、「ボルヘスの小説を読んでみたい場合、どの本を買えばいいのか?」というガイド記事を作成したところ、多くの方に読んでいただいております。どうもありがとうございます。 …

奈落の新刊チェック 2023年4月 海外文学・SF・現代思想・歴史・NOVA・回樹・非有機的生・バタイユ・旋回する人類学ほか

4月も早々と終わりまして世はゴールデンウィークに突入。連休の方もそうでない方もいらっしゃるでしょうが、連休の方はもう、本でも読むしかないですよね。本はコスパもタイパも良く、自分を成長させてくれ、新たな発見があり、伝統的かつ権威的で、また時に…