もう本でも読むしかない

仕方ないので本でも読む。SF・文学・人文・漫画などの書評と感想

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2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

野町啓『学術都市アレクサンドリア』 ギリシアの知識を伝えたエジプトの古代都市

アレクサンドリア図書館の伝説 古代ギリシアや古代ローマ、そして古代地中海世界の歴史に興味がある方であれば、アレクサンドリア図書館の名前を聞いたことがあるのではないだろうか。エジプトの古代都市、アレクサンドリアにあったと言われる、古今東西の書…

YOMUSHIKA MAGAZINE vol.3 NOVEMBER 2022 特集:幻想のアメリカ

自分が殺される日、サンティアゴ・ナサールは、司教が船で着くのを待つために、朝、五時半に起きた。彼は、やわらかな雨が降るイゲロン樹の森を通り抜ける夢を見た。夢の中では束の間幸せを味わったものの、目が覚めたときは、身体中に鳥の糞を浴びた気がし…

高山羽根子『オブジェクタム/如何様』 解けない謎、として描かれる世界

こういう小説が読みたかった 高山羽根子『オブジェクタム/如何様』は最高の作品集である。私はこれを読みながら何度も「うわーっ!最高だ!」と叫びたくなってしまい、とはいえ実際に叫ぶことはせず一人で拳を握りしめたり部屋をうろうろ歩き回ったりするに…

Dream Wifeの新曲「Leech」の怒りのパワーがすごい

「お前は彼女に値しない」 ロンドンの3人組バンド、ドリーム・ワイフの2年ぶりの新曲「Leech」がすごい迫力なので盛り上がってしまった。 www.youtube.com ボーカルのラケル・ミョル、ギターのアリス・ゴー、ベースのベラ・ポドパデックからなるドリーム・ワ…

台湾日記:古都台南で古跡を見たり麺を食べたり

台湾南部にある台南の街に降り立って、まず驚いたのは計程車(ジーチェンチャー)(タクシー)が走る速度の遅さだった。 台北のタクシーは運転が荒く、とにかく飛ばす。運転手によってはわりと怖い。ちなみに交通事故も多い。ところが台南の駅で鉄道を降り、…

ボルヘスの小説はどれから読めばいい? 「迷宮の作家」ボルヘス文庫ガイド

ボルヘスの小説はこの文庫を買えばOK ボルヘスの小説はこの文庫を買えばOK ①代表的作品集『伝奇集』/『アレフ』 ②比較的読みやすい『砂の本』 ③異色作(でも小説としてはむしろオーソドックスな)『ブロディーの報告書』 ④「ボルヘス最後の短編集」『シェイ…

奈落の新刊チェック 2022年10月 海外文学・SF・現代思想・歴史・闇の奥・パラディーソ・スピノザ・布団の中から蜂起せよ・ゴシックハートほか

いよいよ月の数字も2桁になって年の瀬が近づいてきた感がましましですが皆様いかがお過ごしでしょうか。「7」を意味する「セプト」から7月がセプテンバー、「8」を意味する「オクト」から8月がオクトーバーという名前になったのに、手前にジュライとオーガス…