もう本でも読むしかない

仕方ないので本でも読む。SF・文学・人文・漫画などの書評と感想

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2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

中井亜佐子『〈わたしたち〉の到来』 三人のモダニズム作家から読む、「歴史」の書かれかた

コンラッド、ウルフ、C・L・R・ジェームスを読む 中井亜佐子の『〈わたしたち〉の到来』は、主に三人の作家についての文芸批評である。 その三人はいずれも20世紀初頭のモダニズムの時代に活動し、英語で作品を発表した作家たちだ。 〈わたしたち〉の到来 英…

ゴダール『軽蔑』つれづれ感想 あるいはヌーヴェルヴァーグ映画の楽しみ

ふつうの映画に飽きたらヌーヴェル・ヴァーグ映画を見よう 急にジャン=リュック・ゴダールの映画が観たくなり、ブリジッド・バルドーが出ている『軽蔑』を Amazonプライムビデオの配信で見た(初見)。 Amazon プライムの古いフランス映画などは以前に比べ…

『シン・ウルトラマン』を見て振り返る、「特撮」のイメージの秘密

自分にとって「ウルトラマン」とは何だったのか 遅ればせながら庵野秀明総監修・樋口真嗣監督『シン・ウルトラマン』を劇場で見ることができた。 わりと多くの人がそうだったのではないかと思うのだが、『シン・ウルトラマン』を見るという体験は、自分にと…

続々刊行!日本SFアンソロジー 近刊まとめ

SFアンソロジーの勢いがすごすぎて把握できないのでまとめた。 SFアンソロジー新月、Rikka Zine、『新しい世界を生きるための14のSF』、Genesisシリーズ、NOVAシリーズなどなど……SF読者であれば、近年のアンソロジー刊行の勢いに驚いている方は多いのではな…

フィッツジェラルド『若者はみな悲しい』 消費社会の魅惑と呪い

『グレート・ギャツビー』と同時期の短編集 今回は光文社古典新訳文庫から出ている、フランシス・スコット・フィッツジェラルドの短編集『若者はみな悲しい』を紹介しよう。翻訳は、以前の記事で紹介した同文庫のポーも翻訳している小川高義。 若者はみな悲…

『フォートナイト』 無人の街と野山を走り、偶然と反復を遊ぶ

フォートナイトをプレイするという習慣について 海岸にある無人のリゾート 普段あまりゲームを頻繁にプレイする方ではないのだが、ここのところフォートナイトを継続的にやっている。 数か月前ふと、毎日少しずつ、気楽にできることはないかなと思い、そうい…

奈落の新刊チェック 2022年9月 海外文学・SF・現代思想・歴史・九段下駅・アレント・ホラーの哲学・ゴシック全書ほか

最近めっきり涼しくなってきているという噂ですが、いかがお過ごしでしょうか。朝夕冷えそうですので風邪をひかぬようお気を付け下さいませ。10月なのでアニメも新しいのが始まりますね。そんなこんなで9月刊行の新刊紹介です。 雨に打たれて 作者:アンネマ…