もう本でも読むしかない

仕方ないので本でも読む。SF・文学・人文・漫画などの書評と感想

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2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

諏訪部浩一『薄れゆく境界線 現代アメリカ小説探訪』 驚くべき多様性を伝える全26ジャンルの文学地図

現代アメリカ小説の全体像をジャンル別に紹介 薄れゆく境界線 現代アメリカ小説探訪 作者:諏訪部 浩一 講談社 Amazon 諏訪部浩一『薄れゆく境界線 現代アメリカ小説探訪』は、講談社の月刊誌『群像』に掲載された、現代のアメリカ小説を広範に紹介する連載を…

永野護『ファイブスター物語』は完結するのか問題 & そのジェンダー表象について

最近の『ファイブスター物語』を読んで考えたこと ファイブスター物語 17 (ニュータイプ100%コミックス) 作者:永野 護 KADOKAWA Amazon このほど永野護『ファイブスター物語』の第17巻が発売された。私も長年の読者なのでさっそく買い、数時間かけて読み、過…

『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』は華麗な異色のドキュメンタリー

『ムーンエイジ・デイドリーム』ってどんな映画? dbmd.jp いよいよ日本でも公開となるデヴィッド・ボウイのドキュメンタリー映画『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』である。吉井和哉による「上映わずか3分で大号泣」というコメントがキャッ…

太宰治『斜陽』 没落貴族として、変わりゆく世界を生きる

社会の後戻りできない変化を描いた世界的ベストセラー 昨年あたりから、英語圏で太宰治の『人間失格』(英題『No Longer Human』)がベストセラーになっているというニュースをよく見聞きするわけだが、これと並んでよく売れているというのが『斜陽』(英題…

YOMUSHIKA MAGAZINE vol.5 MARCH 2023 特集:怪物

きっかけはフライザだった。"フライザ"なのか"ラ・フライザ"なのかはいつも論議を呼ぶところで、年配の村医者たちや、称号付けをうけもつ長老たちを悩ませてきた。彼女は正常に見えた。──ほっそりした褐色の体、きれいな歯並み、広い鼻、真鍮色の目。生まれ…

『グレート・ギャツビー』冒頭の翻訳3種類を比べてみた 野崎孝・小川高義・村上春樹訳

『ギャツビー』の書き出しを読み比べてみる フランシス・スコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』と言えば、アメリカ文学を代表するとまで言われる小説だ。1925年に刊行され、アメリカの「狂乱の20年代」を象徴する作品とも言われる。語り手…

奈落の新刊チェック 2023年2月 海外文学・SF・現代思想・ソローキン・ガーンズバック変換・バートルビー・ゴダール革命・食客論ほか

2023年2月も終わり、今年ももう16.7%が終了しましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。考えてみれば21世紀も22%は過ぎたのだなと思いますが、そんなことを考えているうちにも新刊はどんどん出てきますね。今月も2月分の新刊チェックを行ってみましょう。 愛…