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台湾日記:大安路一段で芝麻麺とか胡椒餅とかを食べる。

台北で仕事をしている間、南北に走る大安路ダーアンルーという細めの道の、東西に走る市民大道スーミンダーダオ忠孝東路ジョンシャオドンルーという大通りに挟まれた区間で、よく昼食を食べた。住所で言うと大安路一段と呼ばれる地域のうち一部である。


大通りと大通りの間にあるごちゃごちゃした区画に、小さな飲食店、カフェ、雑貨屋などがごちゃごちゃと犇めいている。台湾にはこういう場所がたくさんあり、安く食事をすることができる。

 

市民大道から見た大安路。

 

一番よく通ったのは小林麺食館シャオリンミェンシーグァン。麺類を中心にいろんな小吃シャオチー(小料理)を食べられる。一応、看板料理は牛肉麺ニョウロウミェンらしいのだが、私はもっぱら芝麻麺ズーマーミェン(ゴマだれあえ麺)と炸醤麺ジャージァンミェンジャージャー麺)に魯蛋ルーダン(煮卵)をトッピングして食べていた。ちなみに日本でジャージャー麺と呼ばれる炸醤麺だが、「炸」と「醤」は別に同じ音ではない。実際にはジャージァンミェンみたいな発音である。

とはいえこの手の店では料理の名前が言えなくても問題ない。カウンターに用意されたメニューの紙にチェックを入れて渡せばいいだけだ。会計を済ますと、店員が厨房に向かって注文を叫ぶ。この店では鉛筆で注文を記入することになっていて、会計が済むと店員が消しゴムで私の書き込みを消し、その紙は再利用される。なお全ての麺類は大と小から選ぶことができる。大も食べれないことはないのだがかなり腹がいっぱいになるので、私は小を頼んで煮卵を追加していたというわけだ。煮卵食べたいし。

 

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小林麺食館。

 

ところで台湾の人はよく食べる。私が小サイズの麺をズルズル食べている周りで、ほとんどの人は2~3皿をテーブルに並べている。麺を含む主食と、炒め野菜の組み合わせが多い。場合によってはさらにおかずを一品。炒め野菜は青菜チンツァイと呼ばれ、だいたい菠菜ボーツァイ(ほうれん草)か空芯菜コンシンツァイ豆苗ドウミャオである。シンプルなニンニク炒めなのだが、これが妙に美味い。油が美味しい気がする。この、単なる炒め野菜というメニューがだいたいどの店にもあるので、ちょっと野菜を足したい時に非常に便利だ。タン(スープ)を足す人も多い。そんなに具が入っていない安いスープが何種類かあるので、これもサイドメニューとしてちょうどいい。

芝麻麺の小は35元、魯蛋(煮卵)は10元。計45元。現在のレートで190円くらい。他の小吃もだいたいひとつ30元程度で食べられる。

ちなみにこの小林麺食館の好きなところは、半野外というところだ。通りに面した壁が全部開いており、歩道にも席がはみ出している。私は屋外で食事をするのが好きで、台湾にはそういう店が多い。不思議なのは、店の中でレジが一番外側に、ほぼ屋外にあるところだ。お金が入ってるんだから奥に置いた方が安全なのではないかと思うのだが……

 

小林麺食館の斜向かいのあたりには小さな市場のようなものがあって、これまた屋根と壁だけみたいな半野外のスペースに、朝は野菜が大量に売っている。その中の道沿いにいくつか屋台が設置してあって小吃が買えるのだが、そこの胡椒餅フージャオビンもよく食べた。屋台と言ったが、その胡椒餅を売っているところは屋台ですらなく、単に胡椒餅を焼く窯のようなものが道端にでんと置いてあり、焼きあがったらその上に並べて売るだけだ。ひとつ40元。

 

小さな市場。左端に胡椒餅の看板が出ている。

 

胡椒餅というのは肉と野菜を包んだ饅頭をわりとしっかり焼いたもので、中身はかなり胡椒が効いていてスパイシーだ。汁気も多いので、食べるときに気を付けないと服に肉汁が零れる。

 

台湾のこういう小さな通りは道端にいろいろなものがある。飲食店、文具や日用品やおもちゃを売っている雑貨屋、携帯電話の店など、だいたい店先から歩道、または車道にはみ出している。小吃店の前では、だいたい路上で野菜を切ったり餃子を包んだりしている。我々はそれを避けながら歩く。車道にはスクーターがたくさん走っているので、そちらにも気を付けないといけない。台北では交通事故も多いのだ。

 

 

 

台湾には粉ものの料理がすごく多い。麺、餃子、饅頭、餅、そしてもちろん小籠包。この本はそのものずばり「台湾小麦粉料理」のレシピ本だ。ちなみに中国語では小麦粉は「麺粉」、そしてパンは「麺包」。飽くまでも麺が先である。